矯正治療の豆知識

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金属アレルギー(1)

歯科領域の抱える問題は大古から『むし歯』と『歯周病(歯槽膿漏)』が挙げられ、これに『あご関節の機能異常(顎関節症)』を加えた3つを歯科の3大疾患という。3大と言っても現在最も多いむし歯については意外に歴史が浅く、日本で砂糖(ショ糖)が口に入るようになったのは江戸時代のお殿様が饅頭を食べた頃からと言われており、これ以前より日本では歯を黒く染める”お歯黒”の風習によりむし歯に侵される割合が極端に少なかった。≪オハグロ≫をパソコン等で漢字変換すると≪鉄漿≫という漢字が出てくるが、成分の中に銀イオンを含むタンニンがあるため、歯の表面が酸による脱灰から強く守らていたことになる。銀については、現代においても家電製品に銀イオンを発生させるものがあったり、Ag+というと抗菌パワーをうたい文句にした制汗剤、防臭剤等の生活備品、美容製品の枚挙にはいとまがない。

ところで子どものむし歯は一般的に砂糖制限や予防意識の確立により激減し、12歳におけるDMF歯数(むし歯とむし歯治療済みの歯の合計)が1.0本を下回ったことは前述した通りである。欧州のある国ではむし歯が限りなく”ゼロ”に近づき、将来、『むし歯』というむし歯菌による感染症に対する駆逐宣言が出来るといっても過言ではない。これに対し2つめの疾患である『歯周病』は、掘り出された縄文時代の遺骨の歯にも見られたり、野生動物にも見られるようにまさに大古から存在することが明らかである。また、疾患の発生機序については世界中の多くの研究者が日夜取り組んでも完全には解明されるには至っていない。私が学生だったころに授業で教わった歯周病の発症メカニズムや免疫機構は、今ではほとんど役に立たないと言っても過言ではない。どうやら免疫学の分野は非常に複雑で一筋縄にはいかないようだ。

そして、一番新しい歯科の疾患は『金属アレルギー』である。花粉症、食物アレルギー、ハウスダスト、、、これらの原因(ハプテンと呼ばれる)以前ではいわば『自然にあるもの』に分類される類(たぐい)のものであり、これまで問題視されてきた『人工により作り出されたもの』、例えば、合成洗剤や着色料、排気ガスに含まれる窒素酸化物などその時代時代でやり玉に挙がったものは数知れずあるが、体内への蓄積や解毒(消化して排泄できるか否か)の問題であり、アレルギーとは一線を画すものである。人間が営みを続ける限り”新しい人工物”をなくすことは不可能なので、この類の問題は今後も出てから対応するほかない。これに対し自然物に対する反応であれば、今後の研究成果によっては根絶する方法があるかもしれない。一見真逆のような議論になりそうだが、私はこのように願う(他力本願ではあるが)。

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