矯正治療の豆知識
矯正治療の豆知識
Posted by staff on 2015.06.24
豆知識“第1回”は私(院長)の個人的見解を含むコラムといたします。
大学病院勤務と開業後の合わせて約20年間、これまで患者さんをはじめ、最も多く受けた質問は、
『歯ならびや咬み合わせの相談はいつがいいですか?』、です。
なんと!矯正治療をされない歯科の先生から私への質問でも群を抜いてトップの質問です。永久歯が生えそろった中学生以上の治療や大人の治療(成人矯正)は、治療を受けられる方が興味を持たれた時点で良いのですが、成長期のお子さまをお持ちの親御さんには一番気がかりなことでしょう。
いくつかのステージでご説明します。
1)乳歯が生えてこない、歪んで生えてきた、咬み合わせがおかしい
見つけられた時点でご相談ください。装置を用いた治療に入ることは稀です。
親御さんの心配を解消する、将来の見通しで分かっていることを説明するのが目的です。尼崎市では、1歳半児、2歳児(親子)、3歳児検診、
を無料で受けられますので、そこでの相談でも構いません。ただし、
レントゲン等はなく、歯列矯正に詳しい歯科医師が担当にあたるかどうかもわかりません。
(写真は尼崎歯科医師会の無料検診)
2)乳歯の横から永久歯が出てきた(そう生、転位)
およそ6歳から10歳ごろのお子様が対象です。急ぎ、乳歯の治療が必要なことがあります、すぐにご相談ください。また、広義にこの年齢が一般的な発育期矯正治療の適齢期ですので、他の問題点や将来の予測など詳しい説明が可能です。
3)前歯の咬み合わせが反対(受け口)
将来の予測として再発しない可能性が高い場合、家族性の伝播(遺伝)がない場合は、乳歯列時から治療を開始することがあります。当院では『ムーシールド』を用います。永久歯の前歯が反対咬合になった(気づいた)場合、すぐにご相談をお勧めします。
反対咬合(受け口)の治療は低年齢の方が良いと言われています。ただし、治療が長期にわたる可能性があり、きちんとご説明しご了解して頂いてから開始です。
4)あごがずれている、中心が合っていない(ズレ)
状態は3)の反対咬合(受け口)と親戚関係にあります。治療はできるだけ早期に開始することが望ましいので、乳歯の歯ならびでも、気付かれた時点、あるいは指摘があった時点でご相談ください。家族性の場合は治療期間について注意が必要です。
5)奥歯では咬んでいるが前歯が咬んでいない(開咬)
指しゃぶり、爪・えんぴつ等かみ、唇咬み等の癖(くせ)、口呼吸、アレルギー性鼻炎、扁桃腺肥大などの耳鼻科疾患、家族性の伝播(遺伝)等原因の見極めが大切ですが、舌の動きに問題があることがほとんどで、すぐに矯正治療せず舌や唇のトレーニングから開始します。トレーニングに開始適齢期はなく、ご相談は気付かれたら早ければ早い方が
良いでしょう。矯正治療は発育期から開始の場合7~10歳、永久歯から開始の場合は13~15歳がめやすです。
6)上の前歯が出ている、口を閉じていない(出っ歯)
開咬5)と同じく、歯の位置・角度の問題か、骨格の問題か、家族性(遺伝)かの見極めが大切です。発育期からの治療なら8~10歳、歯の問題なら永久歯がそろってから12、13歳が良いでしょう。
7)歯が重なってガタガタしている(叢生)
歯の生えてくる場所が問題のように見えますが、実は歯を支える骨格が小さすぎるのが原因です。あごの骨を拡げて治すやり方なら7~10歳、永久歯がそろってからのやり方なら中学生以降、12~13歳がめやすです。
8)歯と歯のあいだのすき間(すきっ歯)
乳歯の歯と歯の間にすき間があるのは正常です。そのまま生え代わりを注意をしてください。永久歯のすき間は、将来自然に閉じるすき間とそうでないものとがあります。ご心配ならご相談ください。通常、すべての永久歯がそろってから開始しますので、12~13歳がめやすです。小学生でもすき間を気にされるなら一部先行して治療しても構いません。すき間の原因が過剰歯であるといつまでも閉じませんので、レントゲンで調べる必要があります。歯ならびの中央や、左右に非対称のすき間がある場合は、気付かれた時点でのご相談をお勧めします。
9)歯は存在するが、歯ぐきから生えてこない(埋伏)
ほとんどがかかりつけ歯科医による指摘ですので、話があれば速やかにご相談ください。欠損歯(永久歯の数が足りない)との鑑別(見分け)が必要です。歯の生え変わりに左右に非対称が半年以上続くようなら、永久歯がすべてそろっていなくてもご相談にお越しください。