矯正治療の豆知識
矯正治療の豆知識
Posted by 川端庄一郎 on 2016.08.20
連日のメダルラッシュに沸くリオ・オリンピック大会。お盆期間中はTV観戦のため、毎日昼夜逆転生活を送っておりました。ひとつの感動に浸る間もなく次々と舞い込んでくるメダル獲得ニュースに歓喜しっぱなしです!
メダルと言えば、言わずもがな金・銀・銅。金メダル、銀メダルは金地金や銀地銀ではなくメッキだそうだが、歯列矯正で使用する金属材料は、ほとんどが合金で出来ている。成分元素の”混ぜ具合”は日進月歩で進化しており、特に持続的な力を発揮する弾性力や、たわみやねじれが元の形に戻ろうとする復元力において、それまでになかった形状記憶ワイヤーであるニッケルチタン合金の発明は、特にマルチブラケット装置を用いた矯正治療の技術向上や治療期間短縮、患者さんの痛みの軽減といった夢のような改善を飛躍的にもたらした。ひと口に同じニッケルチタンワイヤーと言っても、合金の組成開発各社はその特性に特徴を持たすべく日夜研究にしのぎを削っている。ニッケル、チタンのほか、クロム、モリブデン、マンガン、ケイ素、炭素、、わずかな含有量の違いにより目的に応じたニッケルチタンワイヤーが用意されている。当院で使い分けているニッケルチタンワイヤーを紹介します。
1)コシ(粘り)のある特徴で歯列弓形態(アーチフォーム)を一定に整えやすいニッケルチタンワイヤー (当院で一般的に用いる)
2)温度変化に敏感で、口の外ではふにゃふにゃなのに(上)、口の中の温度(37℃)になると元の形状にシャキッと瞬時に戻る(下)カッパー・ニッケルチタンワイヤー
3)患者さん個別の歯の形態に合わせて曲げられるTMAワイヤー
4)金属アレルギー症状(後述)を引き起こしにくい組成のゴムメタルワイヤー
5)よりゴージャスに見せる(魅せる?)ため金をコーティングしたワイヤー(左:ピーチゴールドワイヤー、右:レモンゴールドワイヤー)、、等。
6)目立ちにくい、白いコーティングニッケルチタンワイヤー
実は『金色のワイヤーが見栄えする』という患者さんも居られます。日本では多くの方がより目立たない、見えにくい、装置を希望されます。しかし、アメリカでは矯正治療(装置)はステイタス。その人の素養や自己投資に対する積極性を表すとされています。だって、日本人の皆さん、金銀のティファニーやロレックスは大好き!でしょう?(私はほとんど興味がないのですけれど)