矯正治療の豆知識
矯正治療の豆知識一覧
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Posted by 川端庄一郎 on 2016.03.11
いきなり専門用語で失礼します。しかし、詳しく調べておられる方もいらっしゃるかと思い、挙げてみました。『スロット』。私はパチンコは致しません。わざわざお金を払って喧しいところ、タバコ臭いところには行きません。歯列矯正での『スロット』とは永久歯につけるマルチブラケット装置(ブレースともいいます)に彫られた”溝”のことをいいます。(下図を参照)
*マルチブラケット装置
*スロット(マルチブラケットを真横からみたところ)
この溝には、幅の大きさの規格に種類があり、全世界の矯正は、0.018インチと0.022インチの2種類でほぼ網羅されています。ちょうど電車の線路幅に広軌と狭軌の2種類があるのと似ています。JR在来線は狭軌、新幹線や関西私鉄の多くが広軌を採用しています。昔、私が子どもで鉄道オタクだった頃に、『JR(そのころは国鉄)は全国じゅうに線路を敷かなくてはいけないから、線路幅の狭い狭軌の方が土地が少なくて済む』というまことしやかな理由を先輩から聞かされて納得していたのを思い出しますが、走る列車の大きさが同じなら、買収する土地の広さは変わりませんよね!?
*右がJR特急、左が近鉄特急 『Google より抜粋』
”脱線”はこのぐらいにして、、マルチブラケットの溝幅の違いは、大きく2つの視点からどちらに優位性があるか、医院はどちらを採用すべきか論じられます。まずはそのブラケットに通す矯正用ワイヤーとの摩擦の点で密接な関係があります。同じサイズのワイヤーを用いる場合、より幅の広い溝に通す方が余裕がある(スカスカである=”遊び”という)から摩擦抵抗は小さくなります。つまり太いスロットである0.022インチのブラケットの方が有利です。摩擦抵抗が少ないとブラケットがスムーズに滑り動くため、治療初期は早く進むといえます。治療が終わるにはキチッと歯がそろっていなくてはなりませんから、ワイヤーとスロットに遊びがない状態にする必要があります。そうすると一般的には、広いスロット幅を採用する方が太いワイヤーに上げるための段階が増えて、治療後半の期間は長引きそうにも思えます。
もう1点、溝幅の広いスロットに用いる太いワイヤーは剛性(硬さやねじれにくさ)が上がりますから、よりたわみのない歯列に持っていきやすく、歯列をがっちりホールドしてくれる優位性があります。同時に剛性の高いワイヤーはより大きな力を発揮しますから、これが患者さんにとっては治療の痛みが増加したり、力の大きさが歯根吸収(別途記述しますね)を引き起こす確率を上げる、と論じるドクターもいます。ですが、当院で治療を受けられている患者さんが皆痛いのを我慢しておられるかというと一概にそうとも言えませんし、むしろ0.018(狭いスロット)を採用していた大学病院勤務時代の頃の私が担当した患者さんから、よく『痛いですねぇ』と言われていたことを思うと、技術的な面(治療経験)での違いの方がより大きいのではないかと思われます。歯根吸収についても、0.022(広いスロット)の方が吸収するという研究結果はありません(あれば自然淘汰されるはずです)。
*断面が四角い『スロット』に断面が四角いワイヤーを装着すると、3次 元的捻じり力(トルク)がかかる。
ただ、この時期この話題をしましたのは、進学、転勤・転居等で遠方に引っ越しされる患者さんには問題となることがあります。転居先での受け入れ先医院がどちらのスロットサイズの装置を採用されているか、もし違うサイズのスロットなら、このまま続けてもらえるかどうか、医院に合わせてすべて装置を入れ替える必要があるか、予め伺って頂く必要があります。以降の治療費用が変わってくるはずです。
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Posted by 川端庄一郎 on 2016.02.05
歯列矯正治療中の心配事の一つに受傷(ケガ)の問題がある。なに、矯正治療を受けるぐらいの坊ちゃま・お嬢様だから、ケガなど皆無!と思いきや、とんでもないこと。月に1度の通院する時間も惜しいほどクラブ活動や習い事に熱心な患者さんも多い。また、自転車で転んでしまったり、他人が投げたボールが当たったり、それでもケロッとしている元気っ子さんには脱帽である。
歯にまつわる外傷には、程度の軽いものから順に1)歯冠破折 2)歯根破折 3)陥入 4)脱臼 5)歯槽骨骨折 6)顎骨骨折 があり、下記シェーマを参考にしてください。
多くのケースで治癒が期待され、のちに矯正治療も再開できるため、受傷後すぐにかかりつけ歯科医院、もしくは私どものところに駆け込んで欲しい。4)もし歯が抜け落ちてしまったら【4)脱臼】、学校においては保健室にある歯の保存液もしくは牛乳に浸けて、公園や移動中など、そのいずれもなければお口の中にそっと入れて持ってきてもらえれば、元通りに収まる可能性が高い。痛みや出血が一段落すれば、落ち着いて次の手立てを検討することができる。また、参考までに学校内、登下校中に受傷してしまった場合、以下のように、学校およびかかりつけ医を通して『スポーツ振興財団』というところに事後報告を行えば、医院における回復処置のうち健康保険対象の窓口負担分が後から還付される制度がある。
さて、矯正装置がケガそのものの原因になることもあり得るが、お口の中の粘膜、唇、舌などは毛細血管が豊富で、すぐにくっついてくる。口を動かすごとに傷口が広がる場所でなければ、縫合(糸で縫う処置)もあまり必要ない。逆に、固定装置ならば日ごろから歯を固定してくれているわけで、外部からの力は固定している複数の歯で分散されるため、ケガによって歯が折れてしまったり、抜け落ちてしまうことはむしろ少なくなる。
≪参考≫日本小児歯科学会HPより
http://www.jspd.or.jp/contents/common/pdf/download/injury.pdf
ただし、知っておいて頂きたいことの一つに、受傷後、時間を置いて歯が失活する(歯の神経が活動していない状態になること)可能性がある。場合によっては2年以上経過していることも珍しくない。この場合、いきなり歯が痛くなるということは稀で、徐々に黒くあるいは紫がかった色に変色し、根尖(歯の根の一番先端)の周りに感染病巣(化膿領域)ができる。感染病巣は歯科医院でレントゲンを撮ってみないと判らないので、鏡などで『なんか歯の色が変!?』と感じたらすぐ検査されることをお勧めします。
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Posted by 川端庄一郎 on 2015.12.05
これまでの矯正歯科領域におけるアレルギーと言えば、金属アレルギーとアレルギー性鼻炎(による口腔周囲環境の変化≒口呼吸=口がポカンと開く)で あった。 確率から言うと圧倒的に後者が多く、成長発育期治療を担う矯正歯科医としては極めて重要なことなので、別枠にて後述したい。
金属 アレルギーの症状は接触性皮膚炎に代表される、当該金属が触れることによるかゆみ、発赤、ただれ、びらんで、主に汗などによって原因となる金属成分が溶出 し、体のタンパク質とくっついて反応することによる。代表的なものとしてピアス、ネックレスが挙げられる。原因金属はほとんどがニッケル、コバルト、クロ ムで、比較的安価な合金装飾品やメッキもので起こる。金、銀、白金等の貴金属はイオン化傾向が低く、原因元素となりにくい。アレルギーの分類では、Ⅳ型 (遅延型)に属し、感作から1、2日後に細胞性免疫機構が回りだす。
口腔内では、むし歯治療の詰め物、矯正治療の金属ワイヤーの一部に上記 金属が含まれており、1回目の接触(感作という)を経て、次の接触がある一定の量(閾値という)を超えると発症すると言われている。メカニズムとしては花 粉症に近い。口の中の症状は、赤くなったり、逆に白くなったりする。痛みはまれである。
さて、最近金属アレルギーの他に、ラテックスアレル ギーと呼ばれるゴムによるアレルギーにあたることが多くなった。ラテックスとはゴムの木に傷をつけた時に出る”白い汁”のことで、ゴム製品の中には天然ゴムを原料にしているものが多く、これがアレルギーの原因になりうる らしい。医療現場における急速な感染対策の普及により手術時はもちろん、通常の診療、器具の滅菌、バックヤードでの整理、清掃等多くの場面でゴム手袋が必 須となったが、一昔前は医療従事者側の感作がほとんどであった。ここ最近、患者さんサイドでもラテックスアレルギーを疑うことがある。歯科診療時に医療従 事者側のゴム手袋が頬や口唇に触れるからと思われる。
アレルギーの型は、アナフィラキシーや喘息と同じⅠ型(即時型)に属し、接触部位にかゆみ、発赤、丘疹(ぶつぶつ)、水泡が出る。また、キウイフルーツ、アボカド、桃、バナナ等の果物で交叉反応が出る場合がある。ゴム手袋には着脱しやすいようにパウダーがまぶしてあるものがあり、このパウダーにアレルギー物質が結合して空気中を舞うと、まれに呼吸器に対し喘息様の症状を引き起こすことが判っており、かわばた矯正歯科ではパウダー付きのゴム手袋は使用を止めた。また疑いのある患者さんには、天然ゴム成分の入っていないプラスチックグローブに切り替えて診療にあたっている。
上はラテックスグローブ(↑)、下はプラスチックグローブ(←)
ただし、原因が天然ゴムではなく、ゴム手袋を製造する過程で使用する材料のうち、チラウムという加硫促進剤や劣化防止のための酸化防止剤の場合もあるので、詳しくは皮膚科、アレルギー科医による診察が望ましい。見分け方の参考のひとつになるのが『発症までの時間』で、天然ゴムアレルギーは即時型(Ⅰ型)のため、接触から30分~1時間で発症するのに対し、製造過程の化学物質によるものは、遅延型(Ⅳ型)であり、6時間から36時間ほどかかる。つまり、ラテックスアレルギーの場合は、診療後帰宅するころには既に何か症状が出ている可能性が高いことになる。
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Posted by staff on 2015.11.24
毎年、冬に流行するインフルエンザ!
インフルエンザの症状は、高熱が特徴で場合によっては重症化することがありますので
注意が必要なんです。
インフルエンザの予防策として「予防接種」があります。しかし、受けたからといって
絶対にインフルエンザに罹らないというわけではありません。
かかりにくかったり、重症化せずに比較的軽い症状で済むのが予防接種を受けるメリットです。
インフルエンザウイルスが最も猛威をふるうのは、12月~2月の寒さが厳しい時期です。
また、2015年-2016年のインフルエンザワクチンは<4価ワクチン>が使われることが
決定しており、10月1日から予防接種を始めている医療機関が多くあります。
<4価ワクチン>とはなんなのでしょうか??
これまで3価(A型2株+B型1株)であったワクチンが、4価(A型2株+B型2株)です。
B型インフルエンザのワクチンが1種類追加されることになりました。
例年、流行しそうなウイルス株を3種類ピックアップしてワクチンを作っていたのですが、
それでは近年の流行をカバーしきれないとのことで、今年から4種類のウイルス株に対して
有効なワクチンが流通することになったのです。
これにより、A型・B型どちらかのインフルエンザが流行した場合や、両方が流行した場合も
十分に予防効果を発揮することができるようになります。
なお、予防接種の効果は、注射後2~3週でインフルエンザウイルスの抗体が出てくることを
考えると、流行のピークをむかえる前に予防接種を受ける方が良いでしょう☆
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Posted by staff on 2015.11.20
しっかり噛まないと不調が続いてしまうだけでなく、胃癌の原因にも
◎噛まないで丸呑みすると、胃に大きな負担がかかるので、胃痛、胃酸の出過ぎによる胃潰瘍、胃食道逆流、胃癌の原因になりやすい。
◎噛まないことで、顎や咀嚼筋群の発達が低下し、顔は小ぶりになり、表情は乏しく口はポカンと開きやすい若者たちが増えてきているのです。そうなると口呼吸となり、呼吸器系の炎症、免疫低下を引き起こしやすくなる。
◎噛む刺激は眠気を抑え、脳の働きを活発にし、認識力や思考力、集中力、判断力などを高めます。噛むことが少ないと、脳や視神経、中枢神経などの発達にも影響が出る可能性もある
虫歯予防や老化防止など優れた効果がたくさん!
◎だ液がたくさん出ることによって「虫歯を予防」する効果もえられます。
虫歯は、ミュータンス菌などの虫歯菌によって起きますが、だ液には虫歯菌が作る酸を薄める働きがある
◎唾液の分泌がよくなり、唾液に含まれる免疫物質が細菌を減少させるため、口腔内の清潔が保たれ、むし歯や歯周病の予防につながる。
チベットなどでは、よく噛まなくては食べれないスジ肉などを与えることで虫歯予防しているそう
◎生命保険の契約も断られるほど体調不良に苦しんでいたアメリカの大富豪寝であるホ―レス・フレッチャー氏もドロドロになるくらいまでよく噛んで食べるようにした所、半年ほどで普通の人よりも元気になったそうです!!
よく噛むことは健康につながるしメリットしかない!
簡単だけど意外に難しい・・・意識をしなきゃないけないな。
がんばろっと。